躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

公式ホームページ https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/yakushin.html
事業の目的 都内中小企業者が「製品・サービスの質的向上」による競争力強化や「生産能力の拡大」のための生産性向上を進める際に必要となる機械設備等の導入経費の一部を補助する、東京都中小企業振興公社が実施する補助事業です。
公募スケジュール 年に3回程度のペースで募集が実施されております。申請受付期間が10日間程度と短く設定される回もあるため、最新の日程は公式サイトでご確認ください。
採択金額 補助率:中小企業者1/2以内・小規模企業者2/3以内(ゼロエミコース3/4以内、賃上げコースは中小企業者3/4以内・小規模企業者4/5以内)/補助上限額:競争力強化・後継者チャレンジは100万円〜1億円、アップグレード促進は1億円〜2億円
必要な準備期間 1〜2か月程度。多くの事業者様は募集開始の予告段階から準備に着手されます。事業計画の作成、設備の見積取得、二次の面接審査に向けた準備を逆算して進める必要があります。
備考 試作・開発ではなく量産フェーズの申請が対象です。都内に登記簿上の本店または支店があり、都内事業所で継続的に2年以上事業を行っていることが要件です。一次の書類審査に加えて二次の面接審査があります。申請はJグランツで行い、GビズIDプライムアカウントが必要です。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは?

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、都内中小企業者が競争力強化・生産性向上のために導入する機械設備等の経費の一部を補助する制度です。実施主体は公益財団法人 東京都中小企業振興公社で、対象業種に制限はなく全業種が申請できます。補助上限額は事業区分に応じて最大2億円に達し、東京都の設備投資支援策のなかでも規模の大きい補助事業に位置づけられます。

本事業を検討するうえで、最初に押さえておくべき前提が3つあります。1つ目は、本事業が「試作・開発ではなく量産フェーズ」の申請を対象としているという点です。これは公募資料に明記されている位置づけであり、研究開発を目的とし、量産および販売等の目途が立っていない事業は対象になりません。「これから技術を確立する」段階の投資ではなく、売り先と生産計画が見えている投資が本事業の土俵です。

2つ目は、審査が2段階で、二次審査に面接審査が含まれることです。書類を提出して結果を待つ制度ではなく、一次審査を通過した申請者は面接の場で事業計画を説明することになります。しかも「二次審査(面接)等で指定日時にお越しにならない場合には、申請を辞退したものとみなします」と明記されており、日程調整の失敗がそのまま失格につながります。

3つ目は、申請受付期間が10日間程度と短い回も珍しくないことです。募集は年3回程度行われますが、受付期間の長さは回によって異なり、短い回では10日間程度で締め切られます。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、その発行には2週間ほどかかると案内されています。募集開始を確認してから準備を始めたのでは、事務手続だけで受付期間が終わってしまう構造になっている点に、まずご注意ください。

事業の目的

本事業の目的は、都内中小企業者が「製品・サービスの質的向上」による競争力強化や「生産能力の拡大」のための生産性向上を進める際に必要となる機械設備等の導入経費の一部を補助し、都内中小企業の中長期的な成長を支え、東京の産業力の強化及び都内経済の持続的発展につなげることにあります。個社の設備投資を支援することが最終目的ではなく、その先にある東京の産業基盤の強化までを見据えた制度設計になっています。

この目的から導かれるのが、「質的向上」か「生産能力の拡大」かという2つの軸です。より高い品質・精度・機能をもった製品やサービスを提供できるようになるのか、それとも同じ製品をより多く・より効率的に供給できるようになるのか。申請にあたっては、導入する設備がこのどちらの方向で競争力を押し上げるのかを、明確に位置づけて説明する必要があります。どちらとも言えない、あるいは「老朽化したので入れ替える」という説明に留まる計画は、制度の目的に接続しません。

もう一点、全区分に共通して課されているのが「設備投資後、従業員一人当たりの付加価値額(労働生産性)を年率3%以上向上する計画であること」という要件です。設備を導入した結果として、一人当たりの付加価値額がどれだけ伸びるのかを数値で示し、その根拠を説明することが求められます。投資額の大きさではなく、投資が生む生産性の伸びが評価軸である、という制度の姿勢がここに表れています。

「量産フェーズ」であることが、目的適合の入口です

本事業では、研究開発を目的とし、量産および販売等の目途が立っていないものは補助対象外とされています。また、事業計画を伴わず、単なる機械設備等の更新を目的としているものも対象外です。つまり、「まだ売り先が定まっていない先行投資」と「これまでと同じことを新しい機械で続ける投資」は、いずれも制度の目的から外れます。すでに需要が見えている製品・サービスについて、質を上げるか量を増やすために設備を入れる。この形に整理できるかどうかが、申請可否を分ける最初の分岐点になります。

3つの事業区分と3つのコース

本事業は、「事業区分(Ⅰ〜Ⅲ)」と「コース(通常/ゼロエミ/賃上げ)」の2軸で構成されています。まず自社の投資が3つの事業区分のどれに当たるのかを決め、そのうえでどのコースで申請するのかを選ぶ、という順序になります。この2軸の組み合わせによって、補助上限額と補助率が決まります。

3つの事業区分

区分 名称と内容 補助上限額
Ⅰ 競争力強化
競争力強化及び生産性向上のために必要な機械設備等を新たに導入する事業
100万円〜1億円
Ⅱ 後継者チャレンジ
事業承継を契機として、後継者による事業多角化や新たな経営課題への取り組みに必要な機械設備を新たに導入する事業
100万円〜1億円
Ⅲ アップグレード促進
競争力強化及び生産性向上を実現し、地域経済の中心となるべく成長するために必要な機械設備を新たに導入する事業
1億円〜2億円

区分Ⅰの競争力強化が最も一般的な区分で、質的向上または生産能力の拡大を目的とする設備投資が広く該当します。区分Ⅱの後継者チャレンジは、基準日の3年前から補助対象期間起点前日までに事業承継を実施していることが要件となり、承継を契機とした事業多角化や新たな経営課題への取り組みが対象です。区分Ⅲのアップグレード促進は、補助上限額の下限自体が1億円という大型投資向けの区分で、上限は2億円に達します。

なお、全区分に共通して「設備投資後、従業員一人当たりの付加価値額(労働生産性)を年率3%以上向上する計画であること」が必須要件とされています。区分の選択にかかわらず、この生産性向上の計画は避けて通れません。

3つのコースと補助率

コースの選択によって補助率が変わります。申請者が中小企業者か小規模企業者かによっても率が異なります。

申請者 通常コース ゼロエミコース 賃上げコース
中小企業者 1/2以内 3/4以内 3/4以内
小規模企業者 2/3以内 3/4以内 4/5以内

ゼロエミコースは、省エネ・再エネに関する取り組みを伴う申請のためのコースで、申請時に「ゼロエミ概要書」の提出が必要です。通常コースと比べて補助率が大きく引き上げられるため、省エネ性能の高い設備への更新や再エネ設備の併設を検討している場合は、有力な選択肢になります。

賃上げコースは、以下をすべて満たす1年間の賃金引上げ計画を策定・実行することを条件に、補助率が引き上げられるコースです。申請時に「賃金引上げ計画書」の提出が必要です。

  • ①賃金引上げ計画期間において、給与支給総額を基準給与支給総額に1.02を乗じた額以上に増加させること
  • ②機械設備設置場所の事業場内最低賃金を、地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

賃上げコースは補助率が最も高くなる一方で、後述するとおり補助金の交付が2回に分割され、賃上げの達成が確認されるまで満額を受け取れない仕組みになっています。補助率の高さだけで選ぶのではなく、資金繰りと賃金水準の見通しを踏まえて判断する必要があります。

また、区分Ⅱ(後継者チャレンジ)を申請する場合は「事業承継概要書」の提出が求められます。区分ごとに追加で必要となる書類がある点も、準備段階で押さえておくべきポイントです。

区分Ⅲ(アップグレード促進)は、ゼロエミ・賃上げ両コースの要件充足が必須です

補助上限額が1億円〜2億円と最も大きい区分Ⅲでは、ゼロエミコース及び賃上げコースの要件を満たすことが必須とされています。つまり、省エネ・再エネの取り組みと、1年間の賃金引上げ計画の実行を、両方とも引き受けたうえでの申請となります。「上限額が大きいから区分Ⅲで」という発想で選べる区分ではなく、投資規模・環境対応・賃上げ余力の3つが揃っている企業のための区分とお考えください。なお、区分Ⅱの通常コースの補助率については、公開されている資料の間で読み取りに差異が見られます。区分Ⅱでの申請をご検討の場合は、必ず最新の募集要項で補助率をご確認ください。

補助対象設備・経費

本事業の補助対象経費は、機械装置・器具備品・ソフトウェアの新たな導入、および搬入・据付等に要する経費です。ただし対象となるのは税法上の固定資産に限られます。消耗品として処理されるもの、費用計上されるものは、名目が設備関連であっても対象になりません。

1件あたりの単価要件

本事業では、設備1件あたりの単価にも下限が設けられています。単価がこの水準に満たない設備は、合計額がいくらであっても対象経費に計上できません。複数の小型機器をまとめて導入する計画では、この下限に引っかかって想定していた補助額に届かない、という事態が起こり得ます。基準となる金額は機械装置・器具備品とソフトウェアで異なり、募集の回ごとに見直される場合もありますので、見積の段階で、1件ずつ単価が下限を超えているかを最新の募集要項に照らして確認してください。

補助対象外となる経費

本事業では、対象外となる経費が細かく列挙されています。とくに設備投資に付随して発生しやすい費用の多くが対象外である点に注意が必要です。

  • 中古品の導入経費
  • 割賦、リース、レンタルに係る経費
  • 既存機械設備の改良・修繕、および撤去・移設・処分に係る経費
  • 自社内製の機械設備に係る経費
  • 不動産・構築物、車両及び運搬具、船舶、航空機等
  • 工具、ツール、金型類、治具、各種機械設備用消耗品等
  • 消費税、関税、振込手数料、従業員に支払う旅費・交通費
  • 設置場所の整備工事や基礎工事、電気工事等
  • 設置後に発生する費用(年間保守費用、バージョンアップ費用、ライセンス使用料等)
  • 汎用性のあるパソコン、サーバー、ソフトウェア等、目的外使用が可能なもの
  • 現金、手形・小切手、クレジットカード等により支払いが行われている経費

導入後の財産管理義務

補助金を受けて導入した設備には、法定耐用年数または10年間の保有管理義務が課されます。この期間中、無断での処分・移設は交付決定の取消事由となります。設備の使用場所を将来的に移す可能性がある場合や、事業再編を予定している場合は、この制約を織り込んだうえで申請を判断してください。

補助率・上限額

補助率の考え方

補助率は、申請者の区分(中小企業者か小規模企業者か)と選択したコースの組み合わせで決まります。いずれも「〜以内」という表現である点にご注意ください。上限としてこの率までが補助されるという意味であり、審査の結果として減額されることもあります。

申請者 通常コース ゼロエミコース 賃上げコース
中小企業者 1/2以内 3/4以内 3/4以内
小規模企業者 2/3以内 3/4以内 4/5以内

ここから分かるとおり、補助対象経費の1/5〜1/2以上は必ず自己負担となります。最も補助率が高い「小規模企業者×賃上げコース」でも1/5、最も低い「中小企業者×通常コース」では1/2が自己負担です。補助金は投資額の全額を賄うものではない、という前提を最初に置いてください。

自己負担額の考え方

具体的に整理すると、次のようになります。仮に補助対象経費を4,000万円とした場合、中小企業者が通常コースで申請すれば補助率は1/2以内ですので、補助額は最大2,000万円、自己負担は2,000万円です。同じ4,000万円の投資でも、ゼロエミコースまたは賃上げコースで申請できれば補助率は3/4以内となり、補助額は最大3,000万円、自己負担は1,000万円まで下がります。小規模企業者が賃上げコースで申請する場合は4/5以内ですので、補助額は最大3,200万円、自己負担は800万円という計算になります。

この差は投資規模が大きくなるほど拡大します。コースの選択は、単なる申請区分の選択ではなく、数百万円から数千万円規模の資金負担の差として現れます。一方で、ゼロエミコースはゼロエミ概要書の提出、賃上げコースは賃金引上げ計画書の提出と1年間の賃上げ実行という義務が伴います。補助率の高さと引き受ける義務の重さは、必ずセットで比較してください。

補助上限額との関係

補助率で計算した額が、そのまま受け取れるとは限りません。事業区分ごとに補助上限額が定められており、区分Ⅰ・Ⅱは100万円〜1億円、区分Ⅲは1億円〜2億円です。下限が設定されている点も見落とされがちです。区分Ⅰ・Ⅱでは補助金額が100万円に満たない規模の投資は申請の対象になりませんし、区分Ⅲは補助金額が1億円以上となる規模の投資が前提です。

「補助率×投資総額」で資金計画を立てないでください

補助率を掛ける母数は投資総額ではなく、補助対象経費として認められた金額のみです。本事業では、設置場所の整備工事・基礎工事・電気工事、消費税、既存設備の撤去・移設費用などが対象外とされています。設備本体が3,000万円、付帯工事が800万円という計画であれば、補助率が掛かるのは3,000万円のほうです。加えて、補助金は設備代金の支払い後に交付される精算払い(後払い)です。投資総額の全額をいったん自社で用意できるかを、申請を判断する前に必ず確認してください。

申請要件

本事業の申請要件は、「誰が申請できるか」「どこで事業を行っているか」「どこに設備を設置するか」の3つの軸で整理すると理解しやすくなります。とくに東京都の補助事業であることから、都内での事業実績と設置場所に関する要件が厳密に定められている点が特徴です。

対象者要件

申請資格があるのは、次のいずれかに該当する者です。

  • ア 中小企業者(会社及び個人事業者)
  • イ 中小企業団体等

会社だけでなく個人事業者も申請できる点は、本事業の間口の広さを示しています。中小企業者に該当するかどうかの規模基準は業種別に定められており、たとえば製造業・建設業・運輸業等は資本金3億円以下「又は」従業員300人以下、小売業は資本金5,000万円以下又は従業員50人以下といった具合です。資本金と従業員数の「いずれか」を満たせばよい点にご注意ください。

また、補助率が優遇される小規模企業者は、基準日現在の常用従業員数が製造業等は20人以下、商業・サービス業は5人以下と定められています。従業員数が境界付近にある企業は、どちらの区分で申請することになるかによって補助率が変わりますので、早い段階で確認しておく必要があります。

なお、いわゆるみなし大企業については、「大企業が実質的に経営に参画していない者」に限るとされています。判定の例としては、発行済株式総数又は出資総額の1/2以上を大企業が所有しているケースなどが挙げられています。資本関係のある企業グループに属している場合は、この判定を先に済ませておかないと、準備が無駄になるおそれがあります。

都内実績要件

本事業で最も基本的かつ厳格な要件が、都内での事業実績です。基準日現在で東京都内に登記簿上の本店又は支店があり、かつ「東京都内事業所で継続的に2年以上事業を行っていること」が求められます。

ここでの要点は2つあります。1つは登記簿上の本店又は支店であることです。実態として都内に営業所があっても、登記されていなければ要件を満たしません。もう1つは継続的に2年以上という期間です。都内に進出して間もない企業や、直近で都内に本店を移転した企業は、この期間要件で対象外となる可能性があります。いずれも申請直前に整えられる性質のものではないため、検討の初期段階で確認すべき項目です。

設置場所の要件

導入する設備をどこに設置するかによって、要件が変わります。

設置場所 要件
都内に設置する場合 都内に登記簿上の本店又は支店があること。原則として、基準日現在で環境条例に定める工場設置認可・認定を受けていること。
都外に設置する場合 都内に登記簿上の本店があることに加え、設置先が神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨城・山梨に所在する工場等であること。

都外設置の場合、都内に必要なのは「本店又は支店」ではなく「本店」である点に注意してください。都内に支店だけを置き、本店が都外にある企業は、都外設置を選べません。また、設置可能な都外の地域は関東近県に限定されており、それ以外の地域に設置する計画は対象になりません。

さらに重要なのが、「申請書に記載した設置場所は、原則変更できません」という規定です。工場の増改築計画や賃貸物件の契約更新などで設置場所が動く可能性がある場合は、申請前に確定させておく必要があります。

計画認定について

本事業の申請資格は、企業規模、都内での事業実績、納税状況、過去の補助事業での履行状況といった、事業者そのものに関する要件で構成されています。経営革新計画の承認や先端設備等導入計画の認定といった計画認定の取得は、申請資格の要件には含まれていません。これらを取得していないことを理由に申請ができない、ということはありません。

本事業で問われるのは、申請書のなかで組み立てる事業計画そのものです。外部機関の認定を添えることではなく、自社の設備投資が競争力強化と生産性向上にどうつながるのかを、数値と論理で説明できるかどうかが評価されます。もっとも、これらの計画認定は国の補助金では加点や優遇の対象になることが多いため、他制度との併用を視野に入れている場合には取得しておく価値があります。本事業の入口としては不要、他制度への備えとしては有効、という整理でお考えください。

一方で、加点措置として評価される取り組みは別に設けられています。確認できている範囲では、次のようなものです。

  • 公社の「IoT、AI導入前適正化診断」または「ロボット導入前適正化診断」の終了者
  • 公社の「DX推進支援事業」「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」「企業変革に向けたDX推進支援事業」のいずれかの支援を受けた者
  • 東京都(環境局)に「地球温暖化対策報告書」を提出している申請者
  • 「地球温暖化対策計画書」「特定テナント等地球温暖化対策計画書」のいずれかを提出している申請者

加点項目の一覧は募集の回によって変わりうるため、最新の募集要項でご確認ください。いずれも申請直前に取得できるものではなく、公社の診断・支援事業は事前に申し込んで受診・受講しておく必要がある点が実務上の要点です。

その他の要件

  • 都内で実質的に事業を行っていること
  • 東京都に納税し、かつ税金等の滞納がないこと
  • 過去に本事業の採択を受けた場合は、基準日現在で補助金額が確定していること
  • 同一回での申請は、一企業一申請に限ること
  • 同一機械設備で(公社・国・都道府県・区市町村等から)補助を受けていないこと
  • 過去の助成・補助事業において事故がなく、報告書等を期日までに提出していること
  • 事業の継続に問題がないこと
  • 法令等を遵守していること
  • 暴力団関係者等でないこと

要件確認は「間に合うか」ではなく「そもそも該当するか」から始めてください

本事業の要件には、申請の直前には動かせないものが数多く含まれています。都内での2年以上の事業継続、登記簿上の本店・支店の所在、設置場所の確定、環境条例に定める工場設置認可・認定、加点対象となる公社の診断や支援事業の受講、そして税金の滞納がないこと。これらはいずれも、募集開始を知ってから対応できる性質のものではありません。申請受付期間が10日間程度にとどまる回もある以上、要件の該当性確認だけは、募集を待たずに済ませておくべき作業です。当社では初回相談の段階で、この該当性のチェックを最初に行っています。

審査を通過するためのポイント

本事業の審査は2段階で行われます。書類を出して結果を待つだけの制度ではなく、一次審査を通過した申請者だけが二次審査に進み、そこで面接審査を受けるという構造です。最終的には総合審査会で採択者が決定されます。

2段階審査の構造

段階 内容
一次審査 資格審査/経理審査/事業計画審査。申請資格を満たしているかの確認、財務内容の確認、そして提出した事業計画の内容の審査です。ここを通過した申請者のみが二次審査に進みます。
二次審査 面接審査/価格審査。事業計画について直接説明を求められるとともに、導入設備の価格の妥当性が審査されます。
総合審査会 一次・二次の結果を踏まえ、採択者が決定されます。

審査の視点

各審査で何が見られているのかは、次のように整理されています。

審査 視点
経理審査 安全性・収益性・成長性。決算書から読み取れる財務の健全性と、事業を継続・成長させる力があるかが見られます。補助金は精算払いであるため、投資額を立て替えられる財務体力があるかという観点も含まれます。
事業計画審査 適合性・優秀性・実現性・成長性・妥当性。制度の目的に合っているか、内容に優位性があるか、実行できる計画か、成長につながるか、そして前提や数値が妥当か。この5つの角度から評価されます。
価格審査 導入する機械設備の価格が妥当な水準かが審査されます。相見積の取得状況や、仕様に対する価格の合理性が問われる領域です。

この5つの視点のうち、多くの申請者が手薄になりがちなのが「適合性」と「妥当性」です。適合性とは、その投資が「量産フェーズでの競争力強化・生産性向上」という制度の目的に合致しているかという入口の確認であり、ここで外れると内容の巧拙以前に評価の対象になりません。妥当性とは、計画に置いた数値、すなわち生産能力の伸び、売上見込み、従業員一人当たりの付加価値額の年率3%以上の向上が、根拠をもって説明できるかということです。

なお、審査の過程で現地調査が実施される場合があります。ただし申請者全社が対象となるわけではありません。

加点措置

審査では、次のような取り組みが加点措置として評価されます。

  • 公社の「IoT、AI導入前適正化診断」または「ロボット導入前適正化診断」の終了者
  • 公社の「DX推進支援事業」「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」「企業変革に向けたDX推進支援事業」のいずれかの支援を受けた者
  • 東京都(環境局)に「地球温暖化対策報告書」を提出している申請者
  • 「地球温暖化対策計画書」「特定テナント等地球温暖化対策計画書」のいずれかを提出している申請者

加点項目の一覧は募集の回によって変わりうるため、最新の募集要項でご確認ください。いずれも事前の受診・受講・提出が前提となるものであり、申請時点で手を挙げれば得られる加点ではありません。加点を狙うのであれば、募集を待つ前から動いておく必要があります。

採択率について

本事業の採択率は、公社・東京都から公式には公表されていません。公表されているのは採択企業一覧、すなわち採択件数のみです。採択率の具体的な数値を示す情報には根拠がありませんので、ご注意ください。確かなことは、一次審査を通過しなければ面接に進めず、面接審査を経て総合審査会で採択が決まるという競争的な制度である、という一点です。

面接審査が勝負を分けます

本事業の最大の特徴は、二次審査に面接審査が置かれていることです。書面だけで完結する制度であれば、提出後に手を打つ余地はありません。しかし本事業では、一次を通過した後に審査員の前で自らの計画を説明する機会があり、同時にそこで落ちる可能性もあります。しかも「二次審査(面接)等で指定日時にお越しにならない場合には、申請を辞退したものとみなします」と明記されており、日程の調整を誤れば、それだけで失格です。面接では、生産能力や付加価値額の見込みをどう算出したのか、価格の妥当性をどう説明するのか、量産フェーズであることをどう裏づけるのかが問われます。当社では、複数回の模擬面接と想定問答集の作成を標準の工程に含め、審査員経験者を含む専門チームが対応しています。

補助金情報センターの考え方

補助金情報センターは、本事業の申請支援において「単なる設備更新に見せないこと」を最初の設計課題だと考えています。本事業では、事業計画を伴わず、単なる機械設備等の更新を目的としているものは補助対象外と明記されています。ところが実際にご相談をいただく設備投資の多くは、出発点が「老朽化した機械を入れ替えたい」「能力が足りないので同型機をもう1台入れたい」という素朴な動機です。動機そのものは何ら悪いものではありません。問題は、その動機のまま申請書を書くと、制度が対象外と定めている姿にそのまま重なってしまうことにあります。

ここで必要なのは、事実を飾ることではなく、その投資が何を変えるのかを、経営指標のレベルまで掘り下げて言語化することです。新しい機械を入れることで、加工精度が上がって不良率が下がるのか。段取り時間が短縮されて生産能力が何割増えるのか。これまで外注していた工程を内製化できるのか。それによって一人当たりの付加価値額が年率3%以上どう伸びるのか。「更新」と「競争力強化・生産性向上」を分けるのは設備の新旧ではなく、この因果を数値で説明できているかどうかです。掘り下げてみたところ、実態としてやはり単純更新に留まるという結論になることもあります。その場合は、その旨を率直にお伝えします。

2つ目に重視しているのが、量産フェーズであることの説明です。本事業は「試作・開発ではなく量産フェーズの申請が対象」と明示されており、研究開発を目的とし、量産および販売等の目途が立っていないものは対象外とされています。この判定は、申請者自身の認識とずれることが少なくありません。ご本人は「もう製品はできている」とお考えでも、書面を読むと受注先が確定しておらず、量産の目途が見えないという計画は珍しくないのです。誰に、どれだけ、いつから売るのか。取引実績、引き合い、見込み、生産計画。この裏づけを積み上げられるかどうかが、制度適合の入口です。ここが弱いまま申請しても、面接審査で必ず突かれます。

3つ目に、短い受付期間に間に合わせるには事前準備がすべてだということを、率直に申し上げています。本事業の申請受付期間は、10日間程度と短い回も珍しくありません。一方で、GビズIDプライムアカウントの発行には2週間ほどかかると案内されています。受付開始を確認してから動き始めた時点で、事務手続だけで受付期間が終わる計算になります。設備の相見積取得、事業計画の組み立て、決算関係書類の準備、そして加点措置となる公社の診断の受診。いずれも数日で片づく作業ではありません。当社が「早期相談が採択の鍵です」と申し上げるのは、営業上の建前ではなく、この制度の構造から導かれる結論です。

なお、本ページの内容は執筆時点で確認した情報に基づいています。事業区分・コース・補助率・補助上限額・要件・加点項目は、募集の回ごとに見直されます。とくに本事業は過去に事業区分の再編が行われており、古い解説記事の情報が実態と合わなくなっています。申請をご検討の際は、必ず公式サイト(https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/yakushin.html)で最新の募集要項をご確認ください。

募集スケジュール

募集のペース

本事業は、年に3回程度のペースで募集が実施されております。各回の受付開始日・締切は都度設定されますので、最新の募集状況は必ず公式サイト(https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/yakushin.html)でご確認ください。募集にあわせて説明会が開催されることもあります。

受付期間は短く、準備は予告の段階から始まっています

申請受付期間は10日間程度と短く設定される回も珍しくありません。受付期間の長さは回によって異なりますので、実際の日程は必ず各回の募集案内でご確認ください。いずれにせよ、この受付期間のなかで申請準備のすべてを行うわけではありません。実務上は、募集の予告や日程の案内が出た段階で準備に着手し、受付開始までに書類を仕上げておくのが一般的な進め方です。受付期間は、完成した申請内容をJグランツに登録し提出するための窓とお考えください。

したがって本当の勝負は、受付開始前の期間にあります。GビズIDプライムアカウントの取得、設備仕様の検討と相見積の取得、事業計画の組み立て、財務資料の整理、コース選択に応じた書類(ゼロエミ概要書、賃金引上げ計画書、事業承継概要書)の作成。準備期間としては1〜2か月程度をみておくことが一つの目安です。設備の仕様調整やメーカーとのやり取りに時間を要する場合は、さらに前倒しでの着手が必要になります。

とくに注意が必要なのがGビズIDプライムアカウントです。「アカウントの発行には2週間ほどかかりますので、事前に取得をお願いいたします」と公式に案内されています。受付期間が短い回では10日間程度、アカウント発行に2週間。この2つの数字を並べれば明らかなとおり、受付開始を確認してからアカウントを申し込んだのでは、申請そのものが間に合いません。GビズIDプライムの取得は、制度の検討を始めた段階で真っ先に着手すべき手続です。あわせて、加点措置の対象となる公社の診断・支援事業も事前の受診・受講が前提となるため、募集を待たずに動く必要があります。

締切間際にご相談をいただいた場合、相見積を十分に比較できないまま設備構成を決めることになり、二次審査の価格審査で説明が苦しくなります。事業計画の掘り下げも浅くなり、面接審査で数値の根拠を問われた際に答えが続かなくなります。年3回の機会があるとはいえ、1回逃せば数か月先まで設備投資が動かせません。早期相談が採択の鍵です。

申請に必要な準備とは?

申請は、国(デジタル庁)が提供する電子申請システムJグランツから行います。以下は、受付開始までに整えておくべき準備を工程順に整理したものです。受付期間が10日間程度にとどまる回もあることを踏まえ、1〜5はすべて募集開始前に済ませておくことをおすすめします。

1. 申請要件の該当性確認

まず、自社が申請できるかを確認します。とくに都内に登記簿上の本店又は支店があるか、東京都内事業所で継続的に2年以上事業を行っているか、みなし大企業に該当しないか、東京都への納税と税金等の滞納がない状態かの4点は、後から整えることができません。あわせて、検討している投資が量産フェーズのものか、単なる設備更新に留まっていないかを確認してください。ここで対象外と判明すれば、以降の作業をすべて回避できます。

2. GビズIDプライムアカウントの取得

Jグランツでの申請にはGビズIDプライムアカウントが必須です。「アカウントの発行には2週間ほどかかりますので、事前に取得をお願いいたします」と案内されており、準備工程のなかで最も早く着手すべき手続です。募集開始を待つ必要はまったくありませんので、検討を始めた段階で申し込んでください。

なお、代理申請のための様式は用意されていますが、「申請の確認及び提出は申請者自身が行います」とされています。支援機関に依頼する場合であっても、最終的な送信操作は申請者側で行う前提となりますので、アカウントの準備は自社で進める必要があります。

3. 事業区分とコースの決定

区分Ⅰ(競争力強化)/Ⅱ(後継者チャレンジ)/Ⅲ(アップグレード促進)のどれで申請するか、そして通常/ゼロエミ/賃上げのどのコースを選ぶかを決めます。この選択によって補助率・補助上限額と、追加で必要となる書類が変わります。区分Ⅱなら事業承継概要書、ゼロエミコースならゼロエミ概要書、賃上げコースなら賃金引上げ計画書の作成が必要です。区分Ⅲを選ぶ場合は、ゼロエミコースと賃上げコースの両方の要件を満たす必要があります。

賃上げコースを選択する場合は、給与支給総額を基準給与支給総額の1.02倍以上に増加させること、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にすることを、1年間にわたって実行できるかを賃金台帳と損益の見通しから検証してください。

4. 設備仕様の確定と相見積の取得

  • 導入する機械装置・器具備品・ソフトウェアの仕様を確定します
  • 設備1件あたりの単価が、最新の募集要項に定められた下限を満たしているかを1件ずつ確認します
  • 設置場所の整備工事・基礎工事・電気工事、既存設備の撤去・移設費用など、補助対象外の費用を切り分けます
  • 中古品、割賦・リース・レンタルによる調達が含まれていないか確認します
  • 二次審査には価格審査がありますので、価格の妥当性を説明できる形で相見積を取得します
  • 設備の設置場所を確定します(申請書に記載した設置場所は原則変更できません)

5. 事業計画の組み立てと加点措置への対応

事業計画審査で見られる適合性・優秀性・実現性・成長性・妥当性の5つの視点に沿って、計画を組み立てます。中心となるのは、従業員一人当たりの付加価値額(労働生産性)を年率3%以上向上させる計画とその根拠です。設備導入によって生産能力や品質がどう変わり、それが売上・利益・付加価値額にどう反映されるのかを、数値の連鎖として示す必要があります。

あわせて、加点措置の対象となる公社の診断(IoT、AI導入前適正化診断/ロボット導入前適正化診断)や支援事業の受講、地球温暖化対策報告書等の提出状況を確認します。いずれも事前の受診・提出が前提ですので、該当し得るものがあれば早めに動いてください。

6. 提出書類の準備とJグランツからの申請

申請書、事業計画に関する書類、決算関係書類、登記事項証明書や納税に関する証明書類、設備の見積書、選択したコースに応じた各種概要書・計画書などを揃えます。必要書類の一覧は募集の回により変わるため、最新の募集要項でご確認ください。準備が整ったらJグランツから申請します。

なお、事前エントリー(申請予約)は現行制度では不要です。以前は申請予約制が採られていましたが、現在はJグランツでの直接申請に一本化されています。廃止についての明示的なアナウンスは確認できていないため、最新の募集要項でご確認いただくことをおすすめします。

本事業では、「提出された申請書類に不備(記載漏れ、添付書類の不足など)があった場合には、申請を受け付けることが出来ず、差し戻しとなる可能性があります」とされ、加えて「原則として申請書類提出後の加筆、修正等はできません」と明記されています。締切間際に慌てて提出すると、形式不備だけで審査の土俵に上がれません。提出前のチェックに時間を確保できるスケジュールで準備を進めてください。

交付決定後の全体フロー(重要)

採択はゴールではなく、補助金を受け取るまでの手続の起点です。本事業では、申請から入金までが次の流れで進みます。①申請書類提出(Jグランツ)→ ②一次審査 → ③一次審査結果通知 → ④二次審査(面接・価格)→ ⑤補助対象事業者決定 → ⑥事務手続き説明会 → ⑦事業開始 → ⑧完了報告 → ⑨完了検査 → ⑩補助金確定・交付。とくに事業開始以降には、失敗が許されない制約がいくつも置かれています。

1. 補助対象事業者の決定と事務手続き説明会

総合審査会を経て補助対象事業者が決定されると、事務手続き説明会が開催されます。ここで交付決定後の手続、経費の取り扱い、報告義務などが説明されます。この後の実務ルールを取り違えると補助金が受け取れなくなるため、確実に内容を押さえてください。

2. 補助対象期間と発注・契約のタイミング

補助対象期間は、交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月間です。この期間内に契約、納品、支払いまでを完了させた経費が補助の対象となります。

ここで最も重要なのが、補助対象期間の起点より前に契約してはならないという制約です。設備の納期が長いからと先に発注してしまうと、その経費は補助対象から外れます。逆に、期間の終わりまでに支払いが完了しなければ、これも対象外です。1年6ヶ月という期間は、大型設備の設計・製作・据付・試運転を含めると決して余裕のある長さではありません。メーカーとの納期調整は、この枠のなかに収まる前提で進めてください。

3. 設備の導入と事業の実施

補助対象期間内に、計画に沿って設備を導入し、事業を進めます。申請書に記載した設置場所は原則変更できません。また、計画の内容を変更する必要が生じた場合は、事前に公社への相談が必要です。

4. 完了報告と完了検査

設備の導入と支払いが完了したら、完了報告を行います。契約書・発注書・納品書・検収記録・請求書・振込記録といった証憑を取りまとめて報告することになります。その後、公社による完了検査が行われ、内容が確認されます。証憑の不備は、完了報告の段階で最も多く発生する差し戻し要因です。とくに支払方法には制約があり、現金、手形・小切手、クレジットカード等による支払いは対象外とされていますので、発注前に支払条件を確認しておいてください。

5. 補助金の確定・交付

完了検査を経て補助金額が確定し、その後に交付されます。支払いは精算払い(後払い)で、設備導入代金の支払い後に交付されます。補助金額の確定後、約1か月で支払いとなります。

なお、賃上げコースを選択した場合は、補助金の交付が2回に分割されます。1回目に1/2〜2/3相当が交付され、賃上げの達成が確認された後に、2回目として3/4〜4/5相当から1回目の交付分を差し引いた額が交付されます。2回目の交付にあたっては全従業員の賃金台帳写しの提出が必須です。賃金引上げ期間は事業完了月の翌月から12ヶ月とされていますので、満額の受け取りは事業完了からさらに1年以上先になります。

6. 事後の状況報告と財産管理

補助事業完了年度の終了後、その翌年度分から5年間にわたり、事業化状況報告書の提出が求められます。設備投資が計画どおりの成果を上げているかが確認される仕組みです。

また、導入した設備には法定耐用年数または10年間の保有管理義務があります。無断での処分・移設は交付決定の取消事由となりますので、売却・廃棄・移設を検討する場合は必ず事前に公社へ相談してください。

補助金は精算払い。投資額の全額をいったん立て替える必要があります

本事業の補助金は精算払い(後払い)です。設備代金を支払い、完了報告と完了検査を経て補助金額が確定し、そこから約1か月後に入金されます。つまり、設備導入時点では投資額の全額を自社で用意しなければなりません。補助率が1/2であれば投資額の全額を、一時的にせよ資金として手当てする必要があります。賃上げコースを選択した場合は交付が2回に分割されるため、立替期間はさらに長くなります。金融機関との調整は、申請を検討する段階から並行して進めておくべき作業です。経理審査で安全性が見られるのも、この構造があるためです。

自社で申請?または支援機関に依頼?

本事業の申請は自社で行うこともできます。認定支援機関等の関与は要件になっておらず、制度上は自社単独での申請が可能です。ただし実務上は、次の3つがボトルネックになりやすいことが分かっています。

ボトルネック①:量産フェーズであることの説明

本事業は「試作・開発ではなく量産フェーズ」の申請が対象と明示され、研究開発を目的とし量産および販売等の目途が立っていないものは対象外とされています。この線引きは、自社の感覚と書面上の評価がずれやすい領域です。ご本人としては「製品は完成しており、あとは作るだけ」というつもりでも、書面に落とすと受注先が特定されておらず、生産計画も数字になっていない、というケースは珍しくありません。

あわせて、「事業計画を伴わず、単なる機械設備等の更新を目的としているもの」も対象外です。老朽更新や同型機の増設という出発点から、競争力強化・生産性向上の物語を組み立て直す作業は、社内の当事者だけで行うと「自分たちにとって当たり前のこと」が抜け落ちがちです。この2点で外れると、内容の巧拙以前に適格性の段階で落ちます。

ボトルネック②:面接審査への対応

本事業の二次審査には面接審査があります。書面を提出して終わりではなく、審査員の前で計画を説明し、質問に答える場が設けられているということです。ここで問われるのは、生産能力や付加価値額の見込みをどう算出したのか、価格の妥当性は何をもって担保されているのか、量産の目途は何によって裏づけられているのか、といった数値と根拠の対応関係です。書類上は整っていても、口頭で説明できなければ評価は下がります。

さらに、「二次審査(面接)等で指定日時にお越しにならない場合には、申請を辞退したものとみなします」と明記されています。日程調整の失敗が、それだけで失格につながる制度です。面接審査を前提に準備を設計するかどうかが、結果を大きく左右します。

ボトルネック③:受付開始前に仕上げきれるか

申請受付期間は、10日間程度と短い回もあります。多くの事業者様は募集の予告段階から準備を進めており、受付期間は完成した内容を提出するための窓として使われています。逆に言えば、予告の段階で動き出せなかった事業者は、その回に間に合わないということです。事業計画の作成、相見積の取得、決算関係書類や証明書類の収集、コースに応じた各種書類の作成は、いずれも受付開始前に片づけておくべき作業です。GビズIDプライムアカウントの発行に2週間ほどかかることも踏まえれば、受付開始を待ってから動く選択肢は事実上ありません。

加えて、「提出された申請書類に不備(記載漏れ、添付書類の不足など)があった場合には、申請を受け付けることが出来ず、差し戻しとなる可能性があります」、「原則として申請書類提出後の加筆、修正等はできません」とされています。追加資料の提出期限を過ぎた場合や、説明の求めに応じない場合も、申請を辞退したものとみなされます。短い期間で、しかも一発勝負の精度が求められる。これが本事業の申請実務の性質です。

参考:国の補助金との違いと併用の可否

本事業と、国が実施する各種補助金とは、性格が大きく異なります。どちらで申請すべきかを判断するうえで、次の対比が参考になります。

観点 本事業 国の補助金
実施主体 東京都中小企業振興公社 国(中小企業庁)/全国事務局
対象者 都内に登記簿上の本店又は支店があり、都内で2年以上事業を継続していること 全国の中小企業者
フェーズ 量産フェーズ限定(試作・開発は対象外) 制度により試作・革新的サービス開発等も対象
対象経費 機械装置・器具備品・ソフトウェア(固定資産のみ)。建物・工事費は対象外 制度により建物費・外注費・専門家経費等を含む場合あり
上限額 最大2億円 制度・枠により異なる
審査 面接審査あり 原則書面審査(一部制度で口頭審査あり)

併用については、同一機械設備で公社・国・都道府県・区市町村等から補助を受けていないことが申請資格の要件とされています。さらに、「同一機械設備(同一型番)で二重に補助金を受け取ることはできないため、両方採択された場合は、どちらか一方を辞退していただきます」と明記されています。つまり、併願申請そのものは可能ですが、同一設備での重複受給はできません。導入する設備が異なるのであれば、それぞれ別の制度で申請すること自体は排除されていません。複数の制度を検討される場合は、設備ごとにどの制度で申請するのかを整理しておく必要があります。

補助上限額が最大2億円に及ぶ制度であることを踏まえると、不採択で失われるのは申請の手間だけではありません。設備投資そのものが次の募集回まで先送りになり、その間の競争機会も失われます。本事業は同一回での申請が一企業一申請に限られており、機会は限られています。また、同一機械設備で他の補助を受けていないことが要件となっているため、他制度との組み合わせにも整理が必要です。制度適合の判断に迷いがある段階から、外部の目を入れることをおすすめします。早期相談が採択の鍵です。

支援事業者の選び方のポイント

支援事業者によって、提供される内容と結果は大きく異なります。とくに本事業のように面接審査があり、申請受付期間が10日間程度と短い回もある制度では、選定の巧拙がそのまま結果に表れます。次の5点でご確認ください。

①実績・専門性

その支援事業者が、どの制度でどれだけの採択実績を持っているかを確認してください。あわせて、実際に申請内容を組み立てる担当者の保有資格も重要です。中小企業診断士は経営コンサルティングに関する唯一の国家資格であり、設備投資と経営指標を結びつける計画の構成力に直結します。事業再構築補助金の公募結果では、士業別の採択率は税理士38.0%、公認会計士44.9%、行政書士43.0%、中小企業診断士55.3%という差がありました(出典:「事業再構築補助金の公募結果について」)。

認定支援機関別の応募・採択状況。中小企業診断士の採択率は55.3%で、税理士38.0%、税理士法人43.5%、公認会計士44.9%などを上回る。

認定支援機関別の応募・採択状況。支援を受ける相手によって採択率に差が出ていることが読み取れます(出典:「事業再構築補助金の公募結果について」)。

②面接審査対策の力量

本事業を依頼するうえで、最も重視すべき確認項目です。本事業の二次審査には面接審査があり、書類を作って終わりの支援では、最も評価が分かれる場面を自社だけで乗り切ることになります。確認すべきは次の点です。模擬面接を行うのか。何回行うのか。想定問答集を作成するのか。誰が対応するのか。「面接対策も可能です」という一言で済ませる支援事業者と、工程として組み込んでいる支援事業者とでは、備えの質がまったく違います。

また、面接では価格審査に関する質問も想定されます。設備価格の妥当性、相見積の取得状況、仕様と価格の対応関係まで説明を組み立てられるかどうかも、確認しておくべき観点です。

③スピードと着手のタイミング

申請受付期間が10日間程度にとどまる回もある以上、募集開始前から動ける体制があるかが結果を分けます。要件の該当性確認、GビズIDプライムの取得案内、区分とコースの選定、相見積の設計、事業計画の骨格づくり。これらを募集開始前に進めておけるかどうかを確認してください。「募集要項が出てから着手します」という進め方では、本事業には間に合いません。

④サポート体制

担当者1名が単独で作成する体制か、複数名でチェックする体制かを確認してください。本事業では、生産能力、付加価値額の年率3%以上の向上、投資額、補助率、賃上げ計画といった複数の数値が相互に整合している必要があります。1か所を直すと他の数値がずれるという構造上、複数の視点によるクロスチェックがあるかどうかで、整合性の担保レベルが変わります。

⑤アフターサポート

本事業は、交付決定後に補助対象期間(交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月間)内での契約・納品・支払、完了報告、完了検査、補助金の確定・交付と続き、その後も5年間の事業化状況報告と、法定耐用年数または10年間の財産管理義務があります。採択までで契約が終了する支援では、契約時期の制約や証憑の整理を自社だけで進めることになります。どこまでを標準の支援範囲に含み、どこからが別途の対応になるのかを、契約前に明確にしてください。

補助金情報センターのご支援内容

補助金情報センターでは、制度適合の判断から二次の面接審査、そして交付決定後の段取りまでを見据えて、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請をご支援します。面接審査対策を標準の工程に組み込んでいることと、短い受付期間にも間に合わせるため募集開始前から準備を進めることが特徴です。

  • 申請要件の該当性診断:都内実績要件(登記簿上の本店又は支店、都内事業所での継続的な2年以上の事業)、中小企業者・小規模企業者の区分、みなし大企業への該当性、納税状況、設置場所の要件を初期段階で確認します
  • 量産フェーズ適合性の判定:検討中の投資が「試作・開発」ではなく量産フェーズにあるか、「単なる機械設備等の更新」に見えない計画に組み立てられるかを、募集要項の記載に照らして整理します
  • 事業区分・コースの選定支援:区分Ⅰ(競争力強化)/Ⅱ(後継者チャレンジ)/Ⅲ(アップグレード促進)と、通常/ゼロエミ/賃上げの各コースについて、補助率・補助上限額・引き受ける義務を比較し、自社に最適な組み合わせをご提案します
  • 補助対象経費の切り分け:設備1件あたりの単価要件の充足、設置場所の整備工事・基礎工事・電気工事など対象外費用の切り分け、中古品・割賦・リース・レンタルの排除を確認し、補助額の見込みを精緻化します
  • 付加価値額向上計画の設計:全区分共通の必須要件である「従業員一人当たりの付加価値額(労働生産性)を年率3%以上向上する計画」を、設備の性能・生産能力・売上見込みから積み上げた根拠とともに組み立てます
  • 賃上げ計画・ゼロエミ関連書類の作成支援:賃上げコースでは給与支給総額を基準給与支給総額の1.02倍以上に増加させること、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とすることを、実行可能な水準で設計します。ゼロエミコース・後継者チャレンジ区分に必要な各種概要書もあわせてご支援します
  • 申請書類の作成支援とクロスチェック:事業計画審査の視点(適合性・優秀性・実現性・成長性・妥当性)に対応する構成で、中小企業診断士が一本の論理として組み立てます。複数の中小企業診断士によるクロスチェックを経て提出内容を確定します
  • 加点措置の整理:公社のIoT、AI導入前適正化診断/ロボット導入前適正化診断、DX関連支援事業の受講、地球温暖化対策報告書等の提出状況を洗い出し、間に合う準備をご案内します
  • 面接審査対策:二次審査の面接に備え、複数回の模擬面接と想定問答集の作成を標準の工程に含めています。審査員経験者を含む専門チームが対応し、付加価値額の算定根拠、価格の妥当性、量産の裏づけといった必ず問われる論点を、経営者ご自身の言葉で説明できる状態まで仕上げます
  • 交付決定後の段取り支援:補助対象期間(交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月間)内での契約・納品・支払という制約を踏まえ、発注時期を含む工程表をご提示します

本事業は申請受付期間が10日間程度と短い回もあり、GビズIDプライムアカウントの発行に2週間ほどかかる制度です。当社では、募集開始を待たずに要件確認・区分選定・事業計画の骨格づくりに着手し、受付開始と同時に提出できる状態まで仕上げる進め方を標準としています。ご相談は募集開始前の段階からお受けしています。

補助金情報センターが選ばれる理由

①制度適合を厳密に見極める初期審査

補助金情報センターでは、制度適合の判断を初期段階で厳密に行い、勝ち筋のある計画に工数を集中させています。本事業については、都内実績要件の充足、量産フェーズであることの裏づけ、単なる設備更新に留まっていないかを初回相談の段階で確認し、要件を満たさない、あるいは制度の趣旨に合わないと判断した案件については、その旨を率直にお伝えしています。

②面接審査対策を標準の工程に組み込み

本事業の二次審査には面接審査があり、ここが評価の分かれ目になります。当社では、複数回の模擬面接と想定問答集の作成を標準の工程に含め、審査員経験者を含む専門チームが対応します。付加価値額を年率3%以上向上させる根拠は何か、価格の妥当性はどう説明するのか、量産の目途はどこにあるのか。審査員が必ず踏み込む論点から順に詰め、経営者ご自身の言葉で答えられる状態まで仕上げます。

面接対策は、単に本番の受け答えを練習する作業ではありません。口頭で説明できない箇所は、計画そのものに穴がある箇所です。模擬面接を重ねる過程で計画の弱点が浮かび、それを申請前に埋められることに、本当の価値があると考えています。

③申請書のライティングは中小企業診断士が専任で担当

申請書のライティング支援は、すべて中小企業診断士が担当します。中小企業診断士は経営コンサルティングに関する唯一の国家資格です。事業再構築補助金の公募結果では、士業別の採択率は税理士38.0%、公認会計士44.9%、行政書士43.0%に対し、中小企業診断士は55.3%でした(出典:「事業再構築補助金の公募結果について」)。設備投資を経営指標の向上に接続して語る本事業では、誰が書くかが結果に表れます。

④3名以上によるクロスチェック体制

当社では常に3名以上の中小企業診断士によるクロスチェック体制を敷いています。在籍する中小企業診断士は120名以上。本事業では、生産能力・付加価値額・投資額・補助率・賃上げ計画といった複数の数値が相互に連動しており、1か所を直すと他がずれます。しかも「原則として申請書類提出後の加筆、修正等はできません」とされている以上、提出前に整合性を潰しきる工程が欠かせません。

⑤認定経営革新等支援機関としての総合力

補助金情報センターは認定経営革新等支援機関であり、M&A支援機関登録事業者でもあります。国の制度から東京都・区市町村の制度まで幅広く扱っているため、本事業が最適でない場合には、他制度も含めた選択肢を第三者の立場でご提示できます。

万が一不採択となった場合も、同一テーマでの再申請については追加の着手金をいただかずに再支援を行います(最大2回まで無料)。初回相談(Zoom)は無料です。お電話(03-6825-0432)でも承ります。

豊富な採択実績をご紹介

補助金情報センターは認定経営革新等支援機関として、豊富な支援実績があります。躍進的な事業推進のための設備投資支援事業に関する個別の採択事例は、掲載可否について各社へ確認のうえ順次公開してまいります。

具体的な取引先名およびロゴの掲載は、個社確認の上、掲載を準備中です。業種・導入設備の傾向については、初回相談の際に近い事例をご説明します。

採択率について

本事業の採択率は、公社・東京都から公式には公表されていません。公表されているのは採択企業一覧、つまり採択件数のみです。したがって、採択率の具体的な数値を示す情報には根拠がなく、当社としても数字を申し上げることは差し控えます。確かなのは、一次審査(資格審査・経理審査・事業計画審査)を通過した申請者だけが二次審査(面接審査・価格審査)に進み、総合審査会で採択が決まる競争的な補助金である、という事実です。

一方で、不採択・差し戻しの要因については募集要項から読み取ることができます。形式面では、申請書類の不備(記載漏れ、添付書類の不足など)による差し戻し、追加資料の提出期限超過や説明の求めに応じないことによる辞退みなし、面接審査の欠席による辞退みなし、GビズIDプライム未取得。内容面では、単なる機械設備等の更新、研究開発を目的とし量産・販売の目途が立っていないもの、自社工場への自家発電設備の設置、導入設備の一定期間の継続使用が見込めないもの、運転資金など設備投資以外の経費を目的とするもの、事業計画の遂行や設備投資の一部が申請者によるものでないもの、補助対象設備を外注業者や関係会社等、補助事業者以外の事業者が使用するものが、補助対象外として明記されています。

このうち実務で最も多く見られる典型パターンが、「単なる設備更新に見える計画」と「試作・開発フェーズの混入」の2つです。前者は、老朽化更新や同型機の増設という出発点のまま申請書を書いてしまうケース。後者は、まだ量産・販売の目途が固まっていない段階の投資を、量産フェーズの体裁で申請してしまうケースです。いずれも、申請前の整理で回避できる項目です。

ご支援の流れ

①お問い合わせ

フォームまたはお電話でご連絡ください。初回相談(Zoom)は無料です。事業規模・都内での事業実績・検討している設備投資の内容と時期をお伺いし、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の対象となるかを初期判断します。

②ご面談・要件該当性の確認

都内実績要件(登記簿上の本店又は支店、都内事業所での継続的な2年以上の事業)、中小企業者・小規模企業者の区分、みなし大企業への該当性、納税状況、設備の設置場所を確認します。あわせて、検討中の投資が量産フェーズにあるか、単なる設備更新に留まっていないかを見極め、申請可否と想定スケジュールをご提示します。他制度のほうが適していると判断される場合は、その旨をお伝えします。

③契約

支援内容・費用・スケジュールにご納得いただけましたら、電子契約にて契約を締結します。標準の支援範囲と、別途のご相談となる範囲をあらかじめ書面で明確にいたします。

④着手金のご入金

着手金をご入金いただき、支援を開始します。

⑤GビズIDプライムの取得・事業区分とコースの決定

GビズIDプライムアカウントの発行には2週間ほどかかりますので、最優先で取得手続を進めていただきます。並行して、区分Ⅰ(競争力強化)/Ⅱ(後継者チャレンジ)/Ⅲ(アップグレード促進)と、通常/ゼロエミ/賃上げの各コースを比較し、補助率・補助上限額・引き受ける義務を踏まえて申請の組み合わせを決定します。

⑥設備仕様の確定・相見積の取得・対象経費の切り分け

設備メーカー様との仕様調整と相見積の取得を進めます。設備1件あたりの単価要件の充足、設置場所の整備工事・基礎工事・電気工事など補助対象外費用の切り分け、中古品・割賦・リース・レンタルの排除を確認し、補助額の見込みを精緻化します。二次審査の価格審査を見据え、価格の妥当性を説明できる形に整えます。

⑦事業計画の作成・クロスチェック

従業員一人当たりの付加価値額を年率3%以上向上させる計画を軸に、事業計画審査の視点(適合性・優秀性・実現性・成長性・妥当性)に対応する構成で、中小企業診断士が申請書類を組み立てます。賃上げコース・ゼロエミコース・後継者チャレンジ区分に必要な各種書類もあわせて作成し、複数の中小企業診断士によるクロスチェックで数値の整合と論理の抜けを潰します。

⑧Jグランツからの申請

受付開始と同時に提出できる状態まで仕上げたうえで、Jグランツから申請します。申請の確認及び提出は申請者自身が行うこととされているため、送信操作の手順もあわせてご案内します。提出後の加筆・修正は原則できませんので、提出前のチェックを丁寧に行います。

⑨一次審査結果の確認・面接審査対策

一次審査(資格審査・経理審査・事業計画審査)の結果を確認し、通過後は二次審査に向けた面接対策に入ります。想定問答集を作成し、複数回の模擬面接を実施します。審査員経験者を含む専門チームが対応し、付加価値額の算定根拠、価格の妥当性、量産の裏づけを経営者ご自身の言葉で説明できる状態まで仕上げます。指定日時に出席できない場合は辞退とみなされるため、日程管理もあわせてご支援します。

⑩補助対象事業者決定・交付決定後の段取り

採択後、成功報酬をご請求します。あわせて、補助対象期間(交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月間)内に契約・納品・支払を完了させる工程表をご提示します。補助対象期間の起点より前に契約すると対象外となるため、発注時期の管理をご案内します。

⑪完了報告

設備の導入と支払の完了後、証憑を取りまとめて完了報告を行います。完了報告以降の実務は標準の支援範囲外となりますが、ご希望に応じて別途ご相談を承ります。

⑫補助金入金

完了検査により補助金額が確定した後、精算払いで補助金が入金されます。賃上げコースの場合は交付が2回に分割され、賃上げ達成の確認後に2回目が交付されます。

よくある質問

①そもそも躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは?

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とはどのような制度ですか。
都内中小企業者が「製品・サービスの質的向上」による競争力強化や「生産能力の拡大」のための生産性向上を進める際に必要となる機械設備等の導入経費の一部を補助する制度です。実施主体は公益財団法人 東京都中小企業振興公社で、都内中小企業の中長期的な成長を支え、東京の産業力の強化及び都内経済の持続的発展につなげることを目的としています。対象業種に制限はなく、全業種が申請できます。
「量産フェーズが対象」とはどういう意味ですか。
本事業は「試作・開発ではなく量産フェーズの申請が対象です」と公式に明記されています。研究開発を目的とし、量産および販売等の目途が立っていないものは補助対象外です。すでに製品・サービスの需要が見えていて、その質を上げるか量を増やすために設備を導入する、という段階の投資が対象になるとお考えください。
補助率と補助上限額を教えてください。
補助率は、中小企業者が通常コース1/2以内・ゼロエミコース3/4以内・賃上げコース3/4以内、小規模企業者が通常コース2/3以内・ゼロエミコース3/4以内・賃上げコース4/5以内です。補助上限額は、事業区分Ⅰ(競争力強化)とⅡ(後継者チャレンジ)が100万円〜1億円、区分Ⅲ(アップグレード促進)が1億円〜2億円です。いずれも補助対象経費の1/5〜1/2以上は自己負担となります。
区分Ⅲ(アップグレード促進)で申請する条件はありますか。
区分Ⅲは、ゼロエミコース及び賃上げコースの要件を満たすことが必須とされています。補助上限額が1億円〜2億円と最も大きい区分ですが、省エネ・再エネの取り組みと1年間の賃金引上げ計画の実行を両方とも引き受けたうえでの申請となります。
国の補助金と何が違いますか。併用はできますか。
本事業は東京都中小企業振興公社が実施する補助事業で、都内に登記簿上の本店又は支店があり都内で2年以上事業を継続していることが前提となります。量産フェーズ限定で、対象経費は固定資産となる機械装置・器具備品・ソフトウェアに限られ、建物・工事費は対象外です。また面接審査があります。併用については、同一機械設備(同一型番)で二重に補助金を受け取ることはできず、両方採択された場合はどちらか一方を辞退することになります。併願申請そのものは可能で、設備が異なれば別の制度で申請すること自体は排除されていません。

②要件・補助対象経費について

誰が申請できますか。個人事業主でも申請できますか。
申請資格があるのは、ア 中小企業者(会社及び個人事業者)、イ 中小企業団体等のいずれかです。個人事業者も申請できます。中小企業者の規模基準は業種別に定められており、たとえば製造業・建設業・運輸業等は資本金3億円以下又は従業員300人以下、小売業は資本金5,000万円以下又は従業員50人以下です。資本金と従業員数のいずれかを満たせば該当します。
都内での事業実績はどの程度必要ですか。
基準日現在で東京都内に登記簿上の本店又は支店があり、かつ「東京都内事業所で継続的に2年以上事業を行っていること」が必要です。実態として都内に事業所があっても登記されていなければ要件を満たしません。いずれも申請直前に整えられるものではないため、検討の初期段階でご確認ください。
親会社が大企業ですが申請できますか。
いわゆるみなし大企業については、「大企業が実質的に経営に参画していない者」に限るとされています。判定の例として、発行済株式総数又は出資総額の1/2以上を大企業が所有しているケース等が挙げられています。資本関係のある企業グループに属している場合は、この判定を先に行ってから準備を進めることをおすすめします。
設備を東京都外に設置することはできますか。
可能ですが条件があります。都外に設置する場合は、都内に登記簿上の「本店」があることに加え、設置先が神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨城・山梨に所在する工場等であることが必要です。都内に支店だけがあり本店が都外にある企業は、都外設置を選べません。なお都内に設置する場合は、都内に登記簿上の本店又は支店があることに加え、原則として基準日現在で環境条例に定める工場設置認可・認定を受けていることが求められます。
補助対象になるのはどのような経費ですか。
機械装置・器具備品・ソフトウェアの新たな導入、搬入・据付等に要する経費で、税法上の固定資産に限られます。1件あたりの下限金額があり、機械装置・器具備品は設備1件あたりの単価要件を満たすこと、とされています。ソフトウェアの金額については資料により記載に差異が見られるため、最新の募集要項でのご確認をおすすめします。
設備の設置工事や電気工事の費用は対象になりますか。
対象外です。設置場所の整備工事や基礎工事、電気工事等に係る経費は補助対象になりません。誤解の多い論点ですので、資金計画を立てる際にはご注意ください。このほか、既存機械設備の改良・修繕および撤去・移設・処分に係る経費、自社内製の機械設備に係る経費、不動産・構築物、車両及び運搬具、船舶、航空機等、工具・ツール・金型類・治具・各種機械設備用消耗品等、消費税、関税、振込手数料、従業員に支払う旅費・交通費、設置後に発生する費用(年間保守費用、バージョンアップ費用、ライセンス使用料等)も対象外です。
中古設備やリースでの導入は対象になりますか。
いずれも対象外です。中古品の導入経費は対象になりません。また、割賦、リース、レンタルに係る経費も対象外とされています。設備をリースで導入する前提の計画は、本事業には乗りませんのでご注意ください。
経営革新計画の承認や先端設備等導入計画の認定は必要ですか。
申請資格の要件には含まれていません。本事業で問われるのは、申請書のなかで組み立てる事業計画そのものです。ただしこれらの計画認定は国の補助金では加点や優遇の対象になることが多いため、他制度との併用を視野に入れている場合には取得しておく価値があります。
1社で複数の申請はできますか。
できません。同一回での申請は一企業一申請に限るとされています。また、同一機械設備で他から補助を受けていないこと、過去に本事業の採択を受けた場合は基準日現在で補助金額が確定していること、過去の助成・補助事業において事故がなく報告書等を期日までに提出していること、東京都に納税し税金等の滞納がないことなども申請資格の要件です。

③審査と交付決定後について

審査はどのように行われますか。
2段階審査です。一次審査で資格審査・経理審査・事業計画審査が行われ、これを通過した申請者のみが二次審査に進みます。二次審査は面接審査と価格審査です。最終的に総合審査会で採択者が決定されます。審査の視点は、経理審査が安全性・収益性・成長性、事業計画審査が適合性・優秀性・実現性・成長性・妥当性で、これに設備価格の妥当性を見る価格審査が加わります。全区分に共通する必須要件として、設備投資後に従業員一人当たりの付加価値額(労働生産性)を年率3%以上向上する計画であることが求められますので、この数値の根拠を説明できるかが重要になります。なお、現地調査が実施される場合がありますが、申請者全社が対象となるわけではありません。
面接審査はどのようなものですか。
二次審査として実施されるもので、一次審査を通過した申請者が対象です。事業計画について直接説明を求められ、質問に答えることになります。付加価値額の見込みをどう算出したのか、設備価格の妥当性をどう説明するのか、量産の目途は何によって裏づけられているのかといった、数値と根拠の対応関係が問われます。なお「二次審査(面接)等で指定日時にお越しにならない場合には、申請を辞退したものとみなします」と明記されていますので、経営者の方のスケジュールは早い段階から空けておいてください。当社では、複数回の模擬面接と想定問答集の作成を標準の工程に含め、審査員経験者を含む専門チームが対応しています。
採択率はどのくらいですか。
採択率は公社・東京都から公式には公表されていません。公表されているのは採択企業一覧、すなわち採択件数のみです。したがって具体的な数値を申し上げることはできませんが、一次審査を通過した申請者だけが面接審査に進み、総合審査会で採択が決まる競争的な補助金であることは確かです。
加点措置にはどのようなものがありますか。
公社の「IoT、AI導入前適正化診断」または「ロボット導入前適正化診断」の終了者、公社の「DX推進支援事業」「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」「企業変革に向けたDX推進支援事業」のいずれかの支援を受けた者、東京都(環境局)に「地球温暖化対策報告書」を提出している申請者、「地球温暖化対策計画書」「特定テナント等地球温暖化対策計画書」のいずれかを提出している申請者などが評価されます。加点項目の一覧は募集の回により変わりうるため、最新の募集要項でご確認ください。いずれも事前の受診・提出が前提です。
申請はどこから行いますか。GビズIDは必要ですか。
申請は、国(デジタル庁)が提供する電子申請システムJグランツから行います。GビズIDプライムアカウントが必須で、「アカウントの発行には2週間ほどかかりますので、事前に取得をお願いいたします」と案内されています。申請受付期間が10日間程度と短い回もあるため、募集開始を待たずに取得手続を進めてください。
事前エントリー(申請予約)は必要ですか。
現行制度では不要です。以前は申請予約制が採られていましたが、現在はJグランツでの直接申請に一本化されています。廃止についての明示的なアナウンスは確認できていないため、最新の募集要項でのご確認をおすすめします。
いつから設備を発注できますか。
補助対象期間は交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月間で、この期間内に契約、納品、支払いまで完了した経費が対象となります。補助対象期間の起点より前に契約してはならないとされていますので、納期が長い設備であってもこの順序は変えられません。逆に、期間内に支払いが完了しなければ、これも対象外となります。
補助金はいつ受け取れますか。
精算払い(後払い)です。設備導入代金の支払い後、完了報告と完了検査を経て補助金額が確定し、確定後およそ1か月で支払われます。設備導入の時点では投資額の全額を自社で用意する必要がありますので、資金繰りの計画に織り込んでおいてください。なお賃上げコースを選択した場合は交付が2回に分割され、1回目に1/2〜2/3相当が交付され、賃上げの達成が確認された後に2回目として3/4〜4/5相当から1回目の交付分を差し引いた額が交付されます。2回目の交付にあたっては全従業員の賃金台帳写しの提出が必須で、賃金引上げ期間は事業完了月の翌月から12ヶ月とされています。
交付決定後の報告義務を教えてください。設備は自由に処分できますか。
補助事業完了年度の終了後、その翌年度分から5年間、事業化状況報告書の提出が必要です。また、導入した設備には法定耐用年数または10年間の保有管理義務があり、無断での処分・移設は交付決定の取消事由となります。売却・廃棄・移設を検討される場合は、必ず事前に公社へご相談ください。

④補助金情報センターのご支援について

初回相談は無料ですか。
無料です。Zoomでの初回相談にて、都内実績要件を満たしているか、検討中の投資が量産フェーズにあるか、どの事業区分・コースが適しているかを初期判断してご説明します。お電話(03-6825-0432)でも承ります。
面接審査の対策もしてもらえますか。
はい。二次審査の面接に備え、複数回の模擬面接と想定問答集の作成を標準の工程に含めており、審査員経験者を含む専門チームが対応します。付加価値額の算定根拠、設備価格の妥当性、量産の裏づけという必ず問われる論点から順に詰め、経営者ご自身の言葉で説明できる状態まで仕上げます。口頭で説明できない箇所は計画そのものに穴がある箇所ですので、模擬面接は計画の精度を高める工程としても機能します。
募集開始前に相談してもよいですか。
むしろ募集開始前のご相談をおすすめしています。申請受付期間が10日間程度と短い回もあり、GビズIDプライムアカウントの発行に2週間ほどかかることを踏まえると、募集開始を待ってから動くのでは間に合いません。当社では、要件の該当性確認、区分とコースの選定、相見積の設計、事業計画の骨格づくりを募集開始前に進め、受付開始と同時に提出できる状態まで仕上げる進め方を標準としています。
どこまでが標準の支援範囲ですか。
申請要件の該当性診断、量産フェーズ適合性の判定、事業区分・コースの選定支援、補助対象経費の切り分け、付加価値額向上計画の設計、賃上げ計画やゼロエミ関連書類の作成支援、申請書類の作成支援とクロスチェック、加点措置の整理、面接審査対策、交付決定後の段取り支援が標準の範囲です。完了報告・完了検査・事業化状況報告といった交付決定後の実務、および設備の仕様策定そのものは標準の支援範囲外となり、ご希望に応じて別途ご相談を承ります。線引きはご契約前に書面で明確にいたします。
不採択だった場合はどうなりますか。
同一テーマでの再申請については、追加の着手金をいただかずに再支援を行います(最大2回まで無料)。不採択となった要因を整理し、計画の構成と数値の根拠を組み直したうえで次回の募集に臨みます。
遠方ですが対応してもらえますか。
対応可能です。ヒアリングから申請書類の作成支援、模擬面接まで、オンラインで完結する体制を整えています。ただし本事業は都内に登記簿上の本店又は支店があり、都内事業所で継続的に2年以上事業を行っていることが要件となりますので、その点はあらかじめご確認ください。

都内の設備投資、面接審査まで見据えた設計をご相談ください。

本事業は申請受付期間が短く、面接審査まで用意されている競争的な補助金です。制度適合の判断から面接対策まで、専門チームでご支援します。

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