なぜつなぎ融資が必要か
補助金について最も誤解が多いのが、入金のタイミングです。補助金は原則として精算払、つまり後払いです。採択されたからといって、その時点で資金が振り込まれるわけではありません。
実際の流れはこうです。交付決定を受けてから設備を発注し、納品を受けて代金を全額自社で支払います。そのうえで実績報告書を提出し、確定検査を受け、補助金額が確定してから請求して、ようやく入金されます。1億円の設備投資に対して補助率1/2で5,000万円の補助金が出る場合でも、いったんは1億円を自社で用意する必要があります。
この構造を理解しないまま採択を目指すと、採択されてから資金繰りに行き詰まります。つなぎ融資は補助金活用の付帯業務ではなく、前提条件です。
入金までの流れと自己負担の期間
採択から入金までの順序を整理します。
| 段階 | 内容と資金の状態 |
|---|---|
| 採択 | 採択されただけでは、まだ何も始まりません |
| 交付申請・交付決定 | 交付決定の日付以降でなければ発注できません。これより前に発注した経費は補助対象外です |
| 発注・納品・支払 | ここで全額を自社が負担します。資金需要が発生するのはこの時点です |
| 実績報告 | 証憑を揃えて提出します。提出期限が定められています |
| 確定検査・額の確定 | 対象外と判断された経費があれば、ここで補助金額が減ります |
| 請求・入金 | 確定後に請求して、ようやく入金されます |
自己資金が必要になるのは支払の時点から入金までの全期間です。補助事業期間そのものが制度によって1年から2年程度あり、そこに実績報告と確定検査の期間が加わります。数か月で済む前提を置かないでください。
補助対象外の経費も忘れないでください
資金計画で見落とされやすいのが、補助金では埋まらない部分です。消費税相当額は補助対象外であり、補助率が1/2であれば残りの1/2は当然に自己負担です。さらに確定検査で経費が否認されれば、想定していた補助金額が減ります。借入額を補助金の入金額ちょうどで組むと、差額を別途工面することになります。この余裕をどう見るかが、資金計画の要点です。
調達先と使える制度
主な調達先
| 調達先 | 特徴 |
|---|---|
| 日本政策金融公庫 | 政策目的の長期・固定金利。据置期間を設定できるため、補助金の入金までは利息中心の返済に抑えやすい |
| 民間金融機関のプロパー融資 | スピードと設計の柔軟性がある一方、保証がないため信用力と取引実績が前提になります |
| 信用保証協会の保証付融資 | 協会保証により民間から借りやすくなりますが、保証料が発生します |
| 自治体の制度融資 | 利子補給や保証料補助がある反面、三者協調のため実行までの期間が長くなります |
つなぎ資金として使いやすいのは、据置期間を設定できる制度です。補助金が入るまでは元本返済を抑え、入金後にまとめて返す設計が組めるためです。
日本政策金融公庫の主な制度
- 新事業活動促進資金:経営革新計画の承認者、経営力向上計画の認定者などが対象。設備資金・運転資金に使え、据置期間の設定が可能です
- 中小企業経営力強化資金:認定経営革新等支援機関の指導を受けて新事業に取り組む事業者などが対象です
- 企業活力強化資金:新分野進出や合理化のための設備資金・運転資金に対応します
計画認定を持っていると条件が変わります
ここが実務上の要点です。経営革新計画や経営力向上計画の認定を受けていると、金融面の優遇が受けられます。
経営革新計画であれば、公庫の基準利率から引き下げられた特別利率が適用され、信用保証についても通常の枠とは別枠が設定されます。経営力向上計画にも、公庫の低利融資や保証枠の拡大といった措置があります。
これらの計画認定は補助金の加点制度として語られることが多いのですが、つなぎ資金の観点では金融支援のほうが実質的な効果を持ちます。補助金の加点は採択されなければ意味がありませんが、金融支援は融資を受ける限り確実に効いてくるためです。
金融機関が見るポイント
つなぎ融資の審査で最も重視されるのは、返済原資となる補助金が確実に入るかです。
その裏づけとして中心になるのが交付決定通知書です。採択通知ではなく交付決定通知である点が重要で、これがあって初めて「補助金が入る予定である」ことを客観的に示せます。あわせて資金繰り表、決算書、補助事業の進捗状況が確認されます。
大型補助金では、金融機関の関与が審査項目です
近年の大型補助金では、金融機関との関係が補助金側の審査対象になっています。
- 大規模成長投資補助金:審査の実現可能性の観点に、金融機関のコミットメントが明示されています。また、確認書を発行した金融機関の担当者がプレゼンテーション審査に同席することが可能です
- 中小企業成長加速化補助金:審査の実現可能性の観点に、金融機関のコミットメントが明示されています。また、確認書を発行した金融機関の担当者がプレゼンテーション審査に同席することが可能です
- 新事業進出補助金:金融機関等から資金提供を受ける場合、資金提供元から事業計画の確認を受けていることが要件とされています
つまり、採択されてから融資を相談するという順序は、制度上すでに成立しません。申請書を作る段階から金融機関を巻き込み、事業計画を共有しておく必要があります。当社では融資申請の支援サービスとして、この段階からのご支援を行っています。
この構造は、金融機関との関係が薄い企業には不利に働きます。逆に言えば、日頃から取引金融機関に事業計画を説明できている企業は、それだけで審査上有利な位置にいます。補助金を機に関係を作るのではなく、関係があるから補助金を取りにいける、という順序が実態です。
つまずきやすい点
交付決定前に発注してしまう
融資の実行を待っている間に納期が迫り、先に発注してしまうケースです。交付決定日より前の発注は補助対象外となり、その経費は補助金の計算から外れます。逆に融資実行を待ちすぎると補助事業期間が圧迫されます。融資と発注のタイミングは、交付決定を挟んで設計する必要があります。
金利は補助対象外です
借入金の支払利息および遅延損害金は、補助対象経費に含まれません。つなぎ融資のコストは全額が自社負担です。短期であっても、金額が大きければ相応の負担になります。この分を投資判断に織り込んでおいてください。
入金後の一括返済ができるとは限りません
補助金が入金されたら繰上返済する前提で借りたものの、契約上それができない、あるいは手数料がかかるということがあります。返済方法は借入契約や制度によって扱いが異なりますので、申込みの段階で返済の設計を明示し、合意しておいてください。
確定検査での減額を見込んでいない
確定検査で対象外の経費が出れば、入金される補助金は想定より少なくなります。その差額は借入の返済原資から欠けることになります。証憑の整備を軽視すると、資金繰りに跳ね返ります。
補助金情報センターのご支援
当社では、補助金の申請支援とあわせて融資申請の支援サービスをご提供しています。補助金のつなぎ資金のほか、設備投資資金・M&A譲受資金・増加運転資金など、成長投資のための資金調達が対象です。
本ページで述べてきたとおり、融資の可否・金額・条件を左右するのは根拠のある事業計画書です。金融機関が見ているのは決算書の数字だけではなく、事業の将来性と返済の確実性です。当社は補助金申請支援で培った事業計画の策定力を、そのまま融資の場面に転用しています。
サービスの構成
| 段階 | ご提供する内容 |
|---|---|
| STEP 0 融資お悩み無料相談 |
無料。資金使途・希望額・現在の財務状況をお伺いし、資金調達の進め方をご提案します |
| STEP 1 融資申請支援パック |
基本サービス。事業計画書の作成、売上計画表・収支計画表(Excel)の作成、融資依頼フォーマットのご提供。経営理念・市場環境・競合分析・返済計画まで、金融機関の審査観点に沿った計画書一式です |
| STEP 2 資金調達力強化パック |
オプション。月次事業報告書の作成と、金融機関訪問前の作戦会議(月1回)。予実対比とKPIの見える化で、金融機関との継続的な信頼関係づくりを支援します |
資料のご提供とヒアリングをもとに、書類の作成は当社が担当します。社長ご自身が書類作成に追われることはありません。ご面談・ヒアリングは原則オンラインで、全国対応が可能です。
当社に依頼いただく理由
- 事業計画書の作成は中小企業診断士が担当:事業計画の策定は中小企業診断士のコア業務です。120名以上の診断士ネットワークと連携し、融資審査で評価される計画書を資格者が作成します
- 審査側の視点を踏まえた作成:当社は認定経営革新等支援機関であり、金融機関で融資業務に携わった経験を持つメンバーも参画しています
- 補助金・M&A・融資の横断設計:補助金のつなぎ資金、M&A譲受資金、設備投資資金を一体で設計できます。単発の融資支援ではなく、成長投資全体を見据えた資金調達をご提案します
- 発注タイミングの設計:交付決定・融資実行・発注の前後関係を整理し、補助対象外となる発注を防ぎます
融資申請「フル」支援サービス
事業計画書の作成から金融機関対応の準備まで、一貫してご支援します。サービス内容・ご支援の流れ・料金体系は専用ページでご確認いただけます。初回のzoom相談は無料です。
誤解のないよう、あらかじめ2点お伝えします。金融機関のご紹介・お引き合わせは行っておりません。お申し込みはお客様の取引金融機関等に対して行っていただき、当社は準備面の支援に徹します。また融資の可否は金融機関の審査によるため、結果をお約束するものではありません。当社は事業計画を根拠から作り込むことで、審査に向けた準備を整えるご支援をします。
認定経営革新等支援機関として、補助金・計画認定・融資までを一体でご相談いただけます。
資金計画は、採択されてからでは間に合いません。早期相談が採択の鍵です。
補助金が入るまでの資金は、用意できていますか。
入金までにいくら自己資金が必要か。どの手段で調達するか。計画認定で条件は改善できるか。この3点の整理から、無料でご相談いただけます。
お電話でのお問い合わせ 03-6825-0432