加点計画(経営革新計画・地域経済牽引事業計画)

対象となる制度 経営革新計画(中小企業等経営強化法)/地域経済牽引事業計画(地域未来投資促進法)の2制度を扱います。
制度の目的 いずれも補助金そのものではなく、都道府県知事の承認を受ける計画認定制度です。承認を受けることで、補助金審査での加点、金融支援、税制優遇といった支援措置の対象になります。
承認する機関 いずれも都道府県知事です。地域経済牽引事業計画で税制優遇の適用を受ける場合は、知事の承認に加えて国(主務大臣)の確認が必要になります。
主な効果 経営革新計画:補助金の加点/日本政策金融公庫の低利融資/信用保証の別枠 地域経済牽引事業計画:補助金の加点/地域未来投資促進税制(特別償却・税額控除)/規制の特例
必要な準備期間 事前相談から承認まで数か月をみておく必要があります。受付のサイクルや所要期間は都道府県ごとに異なるため、管轄窓口の確認が最初の一歩です。
備考 補助金の公募開始を待ってから着手したのでは間に合いません。加点を狙う場合は、補助金の検討と並行して計画認定の準備を進める必要があります。

加点設計とは?

補助金の審査は事業計画の中身だけで決まるわけではありません。多くの制度に加点項目が設けられており、評価が拮抗した場面ではこの有無が採否を分けます。しかも加点の多くは申請の直前には取得できません。都道府県への事前相談から承認まで数か月を要するため、公募開始後に動き出しても間に合わず、補助金を検討し始めた段階で仕込んでおく必要があります。

当センターがこの領域を「加点設計」と呼ぶのはそのためです。狙う補助金を先に決め、そこで実際に加点される計画認定を逆算して取得する。本ページでは代表的な経営革新計画と地域経済牽引事業計画の2制度を取り上げます。いずれも都道府県知事の承認を受ける制度ですが、加点が効く補助金も対象企業規模も異なります。

どの補助金で加点されるか

当センターで解説している補助金について、2つの計画認定が加点対象となるかを整理しました。

補助金 経営革新計画 地域経済牽引
事業計画
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 ○ −
事業承継・M&A補助金 ○ −
大規模成長投資補助金 − ○
中小企業省力化投資補助金(一般型) − −
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) 制度なし 制度なし
中小企業成長加速化補助金 − ○
デジタル化・AI導入補助金 − −
小規模事業者持続化補助金 − −

○=加点の対象となります/−=加点の対象ではありません/制度なし=その補助金には加点項目という仕組み自体がありません

加点項目は公募回ごとに見直されます。申請にあたっては、該当する回次の公募要領で必ずご確認ください。

表から読み取れること

表からわかるとおり、どちらの計画も、すべての補助金で加点されるわけではありません。経営革新計画が効くのは新事業進出・ものづくり商業サービス補助金と事業承継・M&A補助金の2本です。地域経済牽引事業計画が効くのは大規模成長投資補助金と中小企業成長加速化補助金で、いずれも大型の設備投資を伴う制度です。この計画自体が設備投資2,000万円以上を要件としており、加点先からもその性格が読み取れます。

なお省力化投資補助金のカタログ注文型には、そもそも加点項目という仕組みが設けられておらず、計画認定の取得が審査上の有利さにつながることはありません。

中小企業成長加速化補助金は、公募要領上「加点項目」という一覧の形で明示されていないため、要領を読むだけでは加点対象と判断しにくい制度です。審査における波及効果の評価で実質的に効いてくるため、当センターでは加点対象として扱っています。この種の、要領の文面には現れない実務上の取り扱いこそ、支援機関に確認いただきたい部分です。

2つの計画の要件と効果

ここからは、2つの計画それぞれの中身を確認します。数値要件を満たす計画であることが承認の前提となりますので、まずは自社が水準に届くかどうかをご確認ください。

経営革新計画

経営革新計画は中小企業等経営強化法に基づく制度で、「新事業活動により経営の相当程度の向上を図ること」の承認を受けます。対象は中小企業者(従業員数:製造業等500人以下、卸売業400人以下、サービス業・小売業300人以下)で、他制度と比べて対象範囲が広い点が特徴です。申請先は原則、本社所在地の都道府県です。

「経営の相当程度の向上」は次の2指標で判定され、計画期間に応じて必要な伸び率が変わります。

計画期間 付加価値額
(または一人当たり付加価値額)
給与支給総額
3年計画 9%以上 4.5%以上
4年計画 12%以上 6%以上
5年計画 15%以上 7.5%以上

付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で算出し、給与支給総額の伸び率は年平均1.5%以上の水準です。承認後の効果は加点にとどまらず、日本政策金融公庫の特別利率(基準利率−0.9%)、信用保証の別枠(普通保証等2億円等)のほか、中小企業投資育成株式会社等からの投資支援もあります。

実質的な価値は金融面の支援措置にあります。補助金の多くは精算払で交付に時間を要するため、低利融資や信用保証の別枠は、加点よりも直接的に効く場面があります。

地域経済牽引事業計画

この計画は設備投資2,000万円以上が要件に含まれ、一定規模の投資を伴う企業向けの制度です。根拠法は地域未来投資促進法で、市町村・都道府県が策定する基本計画への適合が前提となります。承認は都道府県知事が行いますが、税制優遇を受ける場合は国(主務大臣)の確認も必要な2段階構造です。

主な要件は次のとおりです。

  • 市町村・都道府県が策定する基本計画に適合すること
  • 労働生産性の伸び率4%以上、または投資収益率5%以上
  • 設備投資額2,000万円以上
  • 売上高の伸び率が、対象市場の規模の伸び率を5%以上上回ること

税制優遇(地域未来投資促進税制)は、取得資産の種類によって内容が変わります。

対象資産 特別償却 税額控除
機械装置・器具備品 40% 4%
機械装置・器具備品(上乗せ要件を満たす場合) 50% 5%
建物・附属設備・構築物 20% 2%

あわせて固定資産税・不動産取得税の課税免除等、日本政策金融公庫の固定金利融資、信用保証協会の債務保証、さらに農地転用許可や開発許可、緑地面積率といった規制の特例措置も用意されています。

工場・物流施設の新設を伴う計画では、規制の特例措置が税制以上に効く場合があります。農地転用や開発許可がボトルネックであれば、税制優遇の金額だけで判断せず許認可の見通しも含めて検討してください。

取得までの流れと期間

両制度に共通するのは都道府県窓口への事前相談が出発点になる点です。いきなり申請するのではなく、窓口と相談しながら書類を整えていきます。

経営革新計画の流れ

担当部局への相談、書類作成、申請を経て都道府県知事の承認に至ります。商工会議所・中小企業診断士等への相談が推奨される自治体もあります。受付サイクルや所要期間は自治体ごとに異なるため、まず管轄窓口に確認してください。ここを確認せず逆算すると、スケジュールが崩れます。

地域経済牽引事業計画の流れ

こちらは2段階です。まず都道府県知事が基本計画への適合を審査して計画を承認し、税制優遇を使う場合はさらに国(主務大臣)が先進性・投資規模・労働生産性などを確認します。税制優遇の適用を前提とするなら、国の確認まで含めた工程で逆算してください。

補助金の公募開始を待ってからでは間に合いません

両制度とも、事前相談から承認まで数か月をみておく必要があります。一方で補助金の公募期間は、制度によっては1か月前後、短い回では10日間程度のこともあります。公募要領を見てから計画認定に着手するという順序は、物理的に成立しません。狙う補助金を決めた段階で、計画認定の準備を同時に走らせてください。当センターでは初回相談の段階でこの逆算を行い、間に合う制度と間に合わない制度を切り分けてご説明しています。

よくある誤解と注意点

誤解①:計画認定を取れば、どの補助金でも加点される

冒頭の対応表のとおり、そうではありません。経営革新計画は省力化投資補助金や持続化補助金の加点対象ではなく、地域経済牽引事業計画も加点先は限定的です。「とりあえず取っておけば有利になる」という考え方は、費用と時間に見合いません。狙う補助金を決めてから、その補助金で実際に加点される計画を選んでください。

誤解②:加点は取れるだけ取ればよい

制度によっては取得した加点をすべて申請できるとは限りません。小規模事業者持続化補助金では重点政策加点・政策加点から各1つ、計2つまでの選択制です。必要なのはどの加点を選ぶかという判断であり、着手前に選択制かどうかを確認してください。

誤解③:補助金のために取る、その場限りの計画である

いずれの計画も承認後、数値目標の達成状況を問われます。経営革新計画は付加価値額・給与支給総額、地域経済牽引事業計画は労働生産性・投資収益率を計画期間中追うことになります。承認欲しさに背伸びした数値を置くと後年自社を縛るため、達成できる水準で計画を組むことが最も安全な選択です。

注意点:加点項目は公募回ごとに見直されます

本ページの対応表は執筆時点の公募要領に基づく整理です。加点項目は公募回ごとに追加・削除されるため、準備着手時点で該当回次の公募要領を必ずご確認ください。

補助金情報センターのご支援

補助金情報センターでは、補助金の申請支援とあわせて、加点となる計画認定の取得をご支援しています。計画認定を単体で捉えず、狙う補助金から逆算して設計する点が特徴です。

  • 加点の要否判定:検討中の補助金で実際に加点される計画を確認し、取得する意味があるかを判定します。対象外の場合はその旨を率直にお伝えします
  • 数値要件の検証:付加価値額・給与支給総額・労働生産性等の指標が、計画期間を通じて達成できる水準かを決算数値から検証します
  • 計画書の作成支援:新事業活動の位置づけ、数値計画の組み立て、基本計画への適合性の説明まで中小企業診断士が担当します
  • スケジュールの逆算:管轄窓口の受付サイクルを確認し、申請締切から逆算した工程表をご提示します
  • 金融支援・税制優遇の活用相談:承認後の低利融資・信用保証の別枠・特別償却・税額控除を、資金計画に組み込む形でご説明します

認定経営革新等支援機関として、補助金と計画認定、そして融資までを一体でご相談いただけます。

計画認定は、補助金の公募が始まってからでは間に合いません。早期相談が採択の鍵です。

加点は、公募が始まってからでは間に合いません。

狙う補助金で実際に加点されるのはどの計画か。取得は締切に間に合うのか。この2点の切り分けから、無料でご相談いただけます。

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